感想『魔王学院の不適合者』第1話「魔王学院の不適合者」
徹底した主人公最強モノ 開幕
〈はじめに〉
この作品『魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜』(以下『不適合者』)は小説家になろう出身のライトノベルが原作のTVアニメです。
原作は初期から追っており、割と愛着がある作品です。
しかし、なろう原作のアニメは、アニメ化に向かない場合や制作側が原作の持ち味を理解していないことを主たる原因として質が低い。
端的に言って面白くないアニメが多いです。
(近年はようやく例外が増えてきましたが)
『不適合者』は例外側のアニメだと私は思います。
〈スタッフ〉
制作 SILVER LINK.
(痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。)
(乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…)
総監督 大沼心
(同 防振り 監督)
(デスマーチからはじまる異世界狂想曲 監督)
監督 田村正文
(賢者の孫 監督)
シリーズ構成 田中仁
(ヒーリングっど♡プリキュア15話 脚本)
(八月のシンデレラナイン シリーズ構成)
田中仁氏以外の()内は近年の作品で『不適合者』と近いジャンルのものを挙げてます。
〈感想〉
上手く原作の持ち味を活かした素晴らしいアニメだと思いました。
『不適合者』は徹底した主人公最強モノの作品であり、そこが作品としての根幹でもあります。
つまり、何も考えずにアニメオリジナルで主人公が苦戦するシーンや2000年後の魔法にやり込められるシーンを入れると作品が崩壊してしまいます。
分かりやすく例えるなら『不適合者』で主人公が苦戦するシーンは
『ワンピース』でルフィが
「海賊なんてつまんねぇよ!」
「やっぱ自由な海賊より安定した海軍が最高だな!」と発言するレベルで作品が崩壊します。
ここで、アニメ『不適合者』が原因の持ち味を理解していると確信した具合例を2つ挙げてみます。
①心音のシーン
入学試験での心音のみで相手を倒すシーン。
文字だけでは意味不明だと思いますが、文字通り心音だけで相手を倒しています。
このシーン、絵面だけ見れば完全にギャグですがシリアスなシーンです。
ここを!茶化さずに!シリアスな場面としての演出で!アニメ化したことは本当に素晴らしいと思います。
②テンプレを流したシーン
魔力測定の水晶が壊れるシーンで
周囲のモブが驚くカット等を入れずにミーシャが淡々と
「初めてみた。魔力が強すぎて水晶が壊れるところ」とだけ言うのは
情報としては提示すべきだけど時間をかけるべきではないシーンとしてとても適切な扱いだと思います。
最後に、心配な要素
これは作品としての出来が悪いというより、原作を本当に必要最低限だけ残して削ってることによって生まれた心配です。
私はこの記事を書く前に、原作を軽く読み返したのですが、アニメでは「コメディシーン」がかなりカットされたことが分かりました。
尺の問題なので仕方ありませんし、ツッコミ役の2人目の仲間が加入してからがコメディの本番ではあります。
ですが、アニメでは物語の軽さがやや減っており、主人公の愉快な人間性の描写も減っています。1話ではキノコグラタンのお代わりを貰うシーンくらいしかありません。
(Twitter等で散見する
「原作の良い点が無くなった!」と言ってる方々は恐らく原作のコメディシーンが好きなのかなと思います。)
加えて、時系列もいじられていますが、アニメの構成として心配な点はありません。
〈主人公について〉
初見の方も感じたと思いますが、主人公アノス・ヴォルディゴートは自覚的な主人公です。
3秒ルール、逆らう奴は皆殺しだ!の2000年前ジョークを外したと自覚したシーン。
ミーシャとの会話で周囲に憎まれる振る舞いをしてきた。原因は自分にあると話してたシーン。
もちろん皇族弟、皇族兄を蹂躙するシーン。
自分の強さにも、周囲が自分をどう思っているかについても自覚的です。
この点が他の主人公最強を徹底しきれてない他の作品との差異であり、この作品最大の魅力の土台であると思ってます。
〈最後に〉
この作品、視聴前は個人的に不安は部分が多かったです。
魔法の名称から効果が分からないので視覚効果を工夫しなければならない点や上で挙げた点などが不安でした。
しかし、私の不安を吹き飛ばしてくれる爽快なアニメ化でした。
初見の方の中には
「本当に主人公(アノス)が魔王なの?」と疑問に思われた方も居ると思われますが、今後の展開でその疑問は解決するのでぜひ視聴を続けていただければと思います。
あと、方々でなろう原作というだけでレッテルを張る馬鹿を散見しますが、ぜひあなた自身の素直な感想を大事にしてください。
「面白い!」も「面白くない!」もあなただけの感情であり、感想ですので。
〈おまけ〉
皇族弟<(数倍)<皇族兄<(???)<アノス
ミーシャは現時点では比較できないので省略
2話以降もキャラを追加していくのでお楽しみに。
画像はお気に入りのシーン
公式サイト(https://maohgakuin.com/story/?id=1)より引用