思考の廃棄場所

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俺TUEEE系として水星の魔女は実に丁寧という話

 

正確には、水星の魔女第1話の俺TUEEE展開が実に丁寧で気が利いていたという話。

 

Twitterで拡散されていた

スレッタ(主人公)vsグエル(敵役)のシーンだけ見ると機体性能で圧倒してるだけに見えます。

 

しかし、重要なのは上記のシーンに至るまでの過程が実に丁寧であり、視聴者が気持ちよく

「うぉぉぉスレッタTUEEE!!!」

ガンダムエアリアル(主人公が乗ってる機体名)TUEEE!!!!!」

と叫べる布石が丁寧に敷き詰められてました。

 

下にスレッタvsグエルのシーンまでの布石を時系列順に並べます。

 

①モブvsグエル

②グエルがミオリネ(ヒロイン)の畑を荒らす

③スレッタとグエルのリスクが釣り合ってない

④ミオリネvsグエル

⑤スレッタvsグエル

 

結論から言うと

①でグエルに強い機体で勝つという罪を犯させ

②でグエルのヘイトを稼ぎ

③でグエルが勝利する正当性を0にし

④で「ガンダムエアリアルは乗れば誰でも勝てるチート機体ではないこと」を提示し

⑤でエアリアルに乗ったスレッタにカッコよく勝たせます。

 

繰り返しになりますが

この①〜④の過程でスレッタがグエルを圧倒することが許される布石が敷き詰められてます。

具体的に説明していきます。

 

①モブvsグエルのシーン

ここで重要なのは、グエルが明らかに強い機体でモブを倒したことを視聴者の脳に刷り込むことです。

教官の「赤いディランザ(機体名)……グエルか」

というセリフと、モブのいかにも量産機っぽい機体を見れば機体性能に差がありそうなこと分かります。

機体性能に差があることは、作中のルール的にはズルではありませんが、視聴者にはズルく見えます。

「視聴者にはズルく見える」のが重要です。

 

②グエルがミオリネ(ヒロイン)の畑を荒らす

グエルのヘイト稼ぎです。

嫌なヤツが負けると気持ちいいし、勝ったら不愉快だからね。

 

③スレッタとグエルのリスクが釣り合ってない

ミオリネへの謝罪を要求したスレッタに対してグエルが挑発し、スレッタがグエルに決闘を申し込みます。

スレッタが勝てばグエルはミオリネに謝罪、グエルが勝てばスレッタは退学です。両者のリスクが釣り合ってないように見えます。

この時点でもうグエルが展開的に勝利する正当性が0になりました。

 

④ミオリネvsグエル

ミオリネがスレッタのガンダムエアリアルに勝手に乗り

グエルは専用機っぽい赤いディランザに乗ります。

当然、学内パイロット1位のグエルにミオリネは負けそうになります。

 

この展開は少し不思議に感じるかもしれません。

最初からスレッタがエアリアルに乗り込んでグエルを圧倒してもいいのに

わざわざミオリネvsグエルをやった意味は2つあると思います。

1つはグエルのヘイト稼ぎ

ヒロインを決闘で攻撃するのは大いにヘイトを稼げます。

2つは「ガンダムエアリアルは乗れば誰でも勝てるチート機体ではないこと」の提示です。

後者が特に重要です。

ミオリネvsグエルが無いとスレッタが機体の強さだけで勝ったように見えてしまいます。

 

⑤スレッタvsグエル

スレッタが決闘を引き継ぎガンダムエアリアルの性能を十全に使いグエルに圧勝します。

映像として実にカッコよく描かれており、Twitterで拡散されるのも納得です。

言うまでもなく、カッコよく勝つことはTUEEE系として重要です。

 

改めてまとめると

①でグエルに強い機体で勝つという罪を犯させ

②でグエルのヘイトを稼ぎ

③でグエルが勝利する正当性を0にし

④で「ガンダムエアリアルは乗れば誰でも勝てるチート機体ではないこと」を提示し

⑤でエアリアルに乗ったスレッタにカッコよく勝たせます。

 

俺TUEEE系として実に丁寧です。

①〜④の布石がどれか1つでも無いとここまで気持ちよく俺TUEEE系の爽快感を味わえないと思います。

 

水星の魔女、今後の展開も楽しみです。

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